ホンダをつくったもう1人の創業者 / 大河 滋

ホンダをつくったもう1人の創業者

無謀とも思える設備投資と人材確保(昭和35年の鈴鹿製作所開設、41年の大量採用)

「良い商品を供給すれば、消費者は必ず買ってくれる」
F1参戦はホンダの伝統的苦難克服方法

本田宗一郎・・金銭の管理は苦手。開発に専念したい。

「下請け」は禁句。相手を一段下に見た侮辱を含む言葉。パートナーと呼ぶように社員には徹底された。
人間尊重の精神、平等主義

新入社員も課長も工場長も同じ作業着。
個人の差は、仕事に発揮されるアイデアや努力、責任感で出せばいい。
白の作業着につく油の位置で、機械の状態をいち早く把握し常に最適に保つ。

最新技術の粋を集めても人の心はつかめない。
主たるものはあくまでも人間であって、どんなに優れていてもコンピュータは従たるものだ。
だから人を大事にしなさい。
自分の能力が未熟なうちにコンピュータを頼りにしてしまう。

完全空調
機械をアンカーボルトで固定しないで、レベリングブロックで調整しているだけ。
1.市場の変化に即対応できるように
2.固定化すると、機械が人間を支配しかねない

「三つの喜び」

「買って喜び、売って喜び、作って喜ぶ」

「三つの自由」

「取引相手の自由」「テリトリーの自由」「商品選択の自由」
本業に徹せよ。
奨学金制度の創設

トヨタ的は、仕組みで売る。ホンダ的は、商品力で売る。
この二つがうまくミックスすれば、最強の自動車メーカーができる。
顧客管理システム「ニューベーシックアクションプラン」(N―BAP)の構築

業販システム
・・代理店や営業所はユーザーへの直接販売を禁じ、小売店への卸売業だけを担当し、
販売は小売店を通して、という卸売業務と小売業務を専業化した方式。

この販売力の弱さがホンダの営業力の弱さをいっそう改善しにくくしている。
CS(カスタマー・サテイスファクション)顧客第一主義

たとえ製造費が上がろうと、安全で高性能の車を作る。
マルチスポットウエルター・・ロボットが瞬時にして二百数十ヵ所を溶接する。

SF(サービス・ファクトリー)・・車の修理や車検、メンテナンスなどを受け持つサービス工場。
SFは販売店への大きな支援になる。サービスには気を使わず、販売に専念できる。

ホンダ営研
・・営業に関するすべての問題を科学的に分析し、近代的な営業ノウハウを確立すると同時に、営業のエキスパートを育成するための営業研究所。

営業の立場から人間心理を解明し、流動的な営業の根底に流れる本質を探究していく。

F1で好成績を残せば、企業イメージと製品イメージの向上につながる。
サイドカー部門には大きな危険が伴うので参加はしない。一つだけ優勝していない部門。

よその物まねでない本物をつくれ
サーキット内の交通教育センター

常に世界に目を向ける。
国際的ムービースターを使えば、世界中どこでも放映できる。
ギャラが安くても日本でしか通用しないタレントを使うより、結果的に安上がりになる。

「松明は自分で持て」「人のふんどしで儲けるな」
ホンダの出足が遅れたのは、商社を使わなかったから。
二輪や四輪は人の命を預かる乗り物だ。他人任せにして、アフターサービスが十分できない状態で販売してはいけない。

世界の消費経済は、アメリカから起こっている。アメリカで需要を喚起できれば、その商品には将来性がある。
アメリカでだめな商品は、国際商品にはなり得ない。

「需要は創造するものである」
OEM(相手先ブランドによる下請け生産)による供給

大量販売と大量生産
「経営は織物でいえば、縦糸、営は横糸」
口下手で無口なので「誠心誠意」

「99%の失敗があって、初めて1%の成功がある」
失敗表彰制度・・果敢に挑戦した結果、すばらしい失敗をした者を選出して表彰する。

昇進には直属の上司の推薦以外に、その人間を良く知る人間の推薦が必要。

社長も部長も誰それさん
社員教育とは躾である。
1分を盗むな。1分遅れれば、100人に迷惑をかける。

電話のベルは3回以内にでる。
「情報は情報源に最も近いところで聞け」
現場の生の声をよく聞き、大事にした。

「三現主義」・・「現場」「現物」「現実」

常に教育効果を意識
一人叱るだけでなく、居合わせた社員たち全員をく教育していた。

「脚や腕を組んで話すな」、「電話に出たら必ず名乗れ」など基本的なマナー
一人前の社会人としてまず育てる。この基本抜きにしては、セールススキルも何もあったものではない。

信用を失ったときホンダはつぶれる。
取引銀行の一本化
若さを信頼できない企業は死ぬ。
「経験がなくても、多少の素質とやる気があり、モチベーションを与えてやれば、従業員は必ずいい結果を出してくれる」・・素人論
素人に重要な役割を平気で任せる。(営業・生産管理部門)
「絶対嘘はいかん。事実しか人を動かすことはできない」   生活振りも質素
学歴が出世に加味されることはまったくなく、社員は現在の価値で評価される。

信頼は両刃の剣だ。信頼が高ければ高いほど、リスクも大きくなる。

「会社のためにでなく、自分の幸せのために働け」
福祉厚生制度・・持家制度、持株制度、退職後の保険の取り扱いなど永久補償制度
社宅より努力して自分の家を持てる制度を取り入れた方がいい。

「エキスパートが育ち、活躍できる組織」「目まぐるしい変化にも対応できる組織」

文鎮型組織・・トップがいるだけで、後は横並びのフラットな組織が採用された。
技術研究所の分離独立・・研究所は何時間働いたから給与はいくらでなく、研究の業績によって支払われる。

「私の記録」・・人知れず仕事上の悩みを抱え込む人がこれを克明な記録として書き残せば、
職場の同僚や上司がその人を理解し易いし、アドバイスもできる上、仕事も円滑に進む。
さらにその人間の能力が埋もれてしまうという危険性も少なくなるし、能力も生かせる。

「私の記録」を見れば、誰がどんな技能を持っているか、適正に評価できる。

管理職は二年契約で何年何月まで課長職を命じるという形で辞令が出される。
期限の無いのは平社員だけ。
「リーダーシップ」とは「言い出しっぺ」で言い出した人間が担当することになっている。

役員大部屋制度・・役員をひとつの大部屋に集めて集団指導体制の基礎を作った。
会議にはリーダーはいない。みんながまとめ役である。

3つの鏡

①株主・・株主に認知され、理解される会社でなければならない。
②労働組合・・従業員に対して経営者がどう映っているか。従業員に理解され、支持される経営を行っているか。
③マスコミを通じて客のイメージもつくられる。

「走りながら考え、走りながら解決する」

研究所に残れるのは技術を極め尽くした研究者だけである。

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です